2012年7月15日日曜日

2012.7.1 谷川岳山開き


相方から谷川岳山開き登山のレポートが届きましたので、
ご紹介させて頂きます。

この時期の谷川は花がキレイですね。



「2012.7.1 谷川岳山開き」



友人に、谷川岳の山開きに行こうと誘われた。
去年の冬、川場スキー場から見えた谷川岳に一目惚れし、いつか登ろうと思っていた。

0:03 大宮発。臨時上野発夜行列車「谷川岳山開き号」(JR東日本)

昨年復活した夜行列車。
ホームに向かってきたのはなんとも懐かしい車両で、旅の始まりに胸が高まった。


夜行列車に乗るのは初めてで、どんなに静かなものかと思っていたが、
多くの登山者の楽しそうな声があちらこちらに響き渡っていた。


3:00 土合駅到着。

地下深いトンネルの中。
皆、ザックを肩にかけながら次々と電車を降りていく。
ホームを過ぎると、地元の方々が横断幕を掲げて出迎えてくださった。

その先に控えていたのは有名な長い長い階段。

下りホームのみ地下にあるらしく、関東から訪れると、この階段を上らないと改札を出られない。
眠気眼をこすりながら、無心で登ること462段。


やっとの思いで到着したら、なぜかその先は真っ暗だった。
不思議に思いながらも地元の方々に誘導されるままに進んでいくと電気の代わりに灯篭が灯されていた。


幻想的な渡り廊下が続き、遠くから和太鼓の音も聞こえてきた。

駅を出ると、不思議な形をした灯篭も現れ、山開きの神事が行われる土合霊園地まではかがり火が誘導してくれた。




4:00 土合霊園地。
和太鼓の演奏が行われた後、安全祈願祭が始まった。
登山事故が多い谷川岳。
水上山岳会、警察、そして地元の方々。
地域が一丸となって安全祈願する姿は感慨深かった。
関係者の方々、夜行列車で訪れた登山者、合計約400人が登山の安全を祈願した。




神事に参加した登山者には、山開きのために作られた日本手ぬぐいとバッジが配られた。
山好きにはたまらないグッズ。これを楽しみにされている方々も多かった。


5:00 谷川岳ロープウエイ運行開始。
ゆっくりとしたロープウエイに揺られ約15分で天神平に到着した。

5:44 天神平(1320m)。曇り。

ロープウエイ降り場を出た時はとても寒かったが、歩き始めてすぐ樹林帯に入り一気に蒸し暑くなった。
顔の前をちらつく虫と戦いながら、木道を進んだ。


7月の谷川岳は高山植物が咲き乱れていた。
天気が悪く景色はほとんど見えなかったが、その分、足元や目線に咲く高山植物を満喫しながら歩いた。

タニウツギ


ムシカリ


タムシバ


イワカガミ


ギンリョウソウ


アカモノ


ナナカマド


マイヅルソウ


ゴゼンタチバナ


高山植物は本当に美しい。
初めて登った北アルプスである白馬岳でお花畑を見たとき、なぜか涙がこぼれた。
人知れず涙している私を見たガイドさんに
「お花畑に感動して登山が好きになる人もいる。あなたもそうだね。」と言われた。
今思えば、本当にその通りだと思う。

途中で、おおぬさを担いだ団体に遭遇した。

安全祈願祭を主催された方々で、麓での神事を終え、山頂にある富士浅間神社の奥の院に向かっているとのことだった。

乾いていた登山道に水が流れ始め、岩が滑りやすくなってきたと思っていたら雪渓が現れた。


念のためと練習をかねて、軽アイゼンを付けて登った。


暑がりの私は、ひんやりした空気の雪渓歩きが大好きだ。
ましてや、愛してやまない雪を夏に踏むことができおのずとテンションが上がるが、雪渓はほんの20m程度で終了してしまった。
しかし、今年は雪が多いとのこと。
先日行った北八ヶ岳も残雪が多く、今年の雪の多さを物語っていた。

雪渓から3分程で肩の小屋に到着した。


目的の登頂記念の木札(今年から¥100)を手に入れてすぐに山頂を目指した。
程なくトマノ耳(1963m)に到着。


視界はよくなかったが、強風が功を奏して一瞬オキノ耳を望むことができた。


それにしても天気が悪い。
そろそろお腹も空いてきてはいるのだが、霧と強風でなかなか休憩もとれない。

行動食も小袋を開けるのとごみをしまうのが億劫な私が最近愛用しているのが、ナルゲンの広口ボトル(380ml)。
この中に好きなナッツとチョコレート、小魚、レーズンなどを入れていつでも食べられるようにショルダー部分につるして歩く。
ハイドレーションとこれがあれば、人一倍シャリバテしやすい私も好きなタイミングでエネルギー補給ができるので、とても重宝している。
雨や霧でしけってしまうかと思ったが、全くそんなこともなく、ここでも私のお腹を満たしてくれた。

ナルゲン(nalgene)はこちらから購入可能です。


稜線は強風が吹き、どんどん体温が奪われていく。
こんなに過酷な環境でも高山植物はしっかりと根を張っていた。

タテヤマウツボグサ(つぼみ)


ミヤマキスミレ?


ハクサンコザクラ


ハクサンイチゲのお花畑


20分程歩き、オキノ耳(1977m)に到着した。


山頂から東側を覗き込むと絶壁が少し見え、


西側には苗場山方面の山々が見渡せた。


頂上でのんびりするのが好きだが、とても寒かったのですぐに肩の小屋に引き返すことにした。
と、水上山岳会の会長さんが、山開き記念の日本手ぬぐいを山頂にいた方々に配っていらっしゃった。
たまたま下山のタイミングが同じになったので、ほんの少しの間一緒に歩いてもらった。
私が苦手な下りをゆっくりと歩いていたら、「谷川岳の岩は蛇紋岩だからよく滑るんだよ。」と教えて下さった。
特に稜線に出てから、岩が丸くなって黒光りしていたので、人がたくさん踏んでいるからだと思っていたが、岩の種類によるものだった。

山開きのこの日は、地元の方々もたくさん登っていらっしゃるようで、会長さんはすれ違うたびに話しかけられ、無事の開山を喜び合う姿が印象的だった。

肩の小屋に戻り、霧の中たくさんさいているミヤマキンボウゲを眺めながらこの日初めての休憩をとった。


ところで、谷川岳のオリジナルグッズにはウスユキソウが描かれているものが多い。
ウスユキソウはヨーロッパのエーデルワイス(セイヨウウスユキソウ)が有名だが、
日本では、同種のミネウスユキソウ、ミヤマウスユキソウ、ハヤチネウスユキソウなどが分布している。
谷川岳で見られるのはホソバウスユキソウと言い、谷川岳と尾瀬の至仏山にのみ生育しているそうである。

エーデルワイスといえば、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌として有名である。
大好きな映画で歌われている花を、3000m近い稜線の岩場の陰で見つけた時から、一番好きな高山植物になった。

どこに咲いているのだろうかと肩の小屋のオーナーに聞いたところ、天狗の留まり場のすぐ下の崖に咲いていて、今がちょうど見ごろだという。
ウスユキソウ♪ウスユキソウ♪
軽快に下山し、天狗の留まり場に到着した。


少し下り、崖を覗き込む。
登山道から数メートル離れた岩場にひっそりと咲いていた。





またひとつ好きな山が増えた。
ウスユキソウをずっと見ていたかったが、雨が降ってきてしまったので先を急いだ。
1時間程で天神平に到着し、ロープウエイで下山した。
下山後、ロープウエイ山麓駅の隣にある谷川岳山岳資料館に行き、「谷川岳登頂証明書」を発行してもらった。
肩の小屋で購入した木札と一緒に飾っておこう。



再び「谷川岳山開き号」に乗り、長い一日を振り返りながら家路についた。



一目惚れした雄壮な山は、数々の高山植物と地元の方々の愛情にあふれた温かい山だった。



以上です。
今回もご覧頂きましてありがとうございました!